オランダ黄金時代、ヨハネス・フェルメールと同時代に活躍し、フェルメールにも大きな影響を与えた画家ピーテル・デ・ホーホの作品「デルフトの家の中庭」です。
デルフトとは当時オランダの都市でピーテル・デ・ホーホやヨハネス・フェルメールが住んで活躍した古都です。
本作品「デルフトの家の中庭」は画面中で場面を二場面に分けて描かれている不思議な作品です。
また、建物の描写や人物の描写はフェルメールの作品「小路」にも類似性が見られる作品です。
作品 デルフトの家の中庭
画面を左右の二つに分け、左側に建物と建物から外を眺める女性の後ろ姿、右側に子供の手を引いて外に出ようとしている女性の姿が描かれています。
「デルフトの家の中庭」
(1658年)
左右の女性がとても対照的に描かれている印象を受けます。
少女の手を引く女性が女中なのか母親なのか作品からは分からず、同じく建物から外を静かに眺めている左側の女性と少女との関係もわかりません。
作品右側の描写は、人物の描写のほか、開いたドアや庭先のバケツとほうきが先ほどまで使われていたような描写がされており、人の生活、活動を印象付けています。
対照的に左側の描写は静けさを印象付けているようです。
アーチの入り口の上の石碑は、実際にあった修道院の石碑で「家事につつしみ忍耐強く生活することで天国に導かれる」という内容とのことです。
当時、オランダでは女性の役割を家の中にいて、家事をすることとした教えが強く広まっていたようです。
二人の女性の立場は判明していませんが、当時の女性の役割の教えから、建物の中から静かに外を眺めている左側の女性は少女の母親で、右側の少女の手を引いいて建物の外にでている女性は女中とのも考えれれています。
本作品で描かれたアーチのある建物と同じ建物が他の作品にも登場しています。
「あずまやのある中庭」
(1658年)
他の作品「あずまやのある中庭」では、少女と少女の手を引いていた女性も描かれているようです。
本作品「デルフトの家の中庭」で描かれている建物の描写は、同年に描かれたヨハネス・フェルメールの作品「デルフトの小路」の建物の描写への影響もある印象を受けます。
「デルフトの小路」(ヨハネス・フェルメール)
(1658年頃)
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