宗教画か全盛の16世紀に当時のフランドル地方(現在のオランダ、ベルギー周辺)の風景や人々の様子を多く描いたピーテル・ブリューゲルの作品「雪中の東方三博士の礼拝」です。
新約聖書内のキリストの誕生を祝って当方から三人の賢者が聖母子のもとを訪れる東方三博士の礼拝を題材に描かれた作品です。
ブリューゲルは東方三博士の礼拝を題材に他にも作品を制作していますが、本作品は雪のなかで東方三博士が礼拝に訪れているところを描いており、とてもユニークな作品となっています。
また、東方三博士の礼拝は画面の端に描かれており、主題は当時の人々の冬の様子を描いているような印象をうける作品です。
作品 雪中の東方三博士の礼拝
東方三博士の礼拝はブリューゲルのみならず多くの画家が題材に作品を制作していますが、本作品は雪中での東方三博士の礼拝を描いており、他にはない構成となっています。
「雪中の東方三博士の礼拝」
(1563年)
本作品の題材となっている東方三博士の礼拝は画中の左下に描かれ、特に強調されて描かれてはありません。
東方三博士の礼拝以上に、雪が降る様子と当時の人々の雪中での様子に主題が置かれているようです。
詳細に描かれている訳ではありませんが、雪の中を足早に行く人々など雪が降る描写とともに人々の様子が一目でわかります。
画中の右下には、凍った川に穴をあけて水を汲む人々や氷の上で遊ぶ子供、その子供を心配する親などが描かれており、雪の中でもたくましく生活する人々を描写しているようです。
ブリューゲルは、本作品以外にもフランドル地方の冬の様子を描いた作品を制作していますが、降りしきる雪の様子は本作品以外では描かれておりません。
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