フィンセント・ファン・ゴッホは、画家達との共同生活を夢見て、パリから南フランスのアルルに移住しますが、ゴッホと共同生活する為に訪れたのはポール・ゴーギャンのみでした。
その共同生活も2,3ヵ月で終わってしまうのですが、ゴッホは自身の耳を切り落とすなど精神的に異常をきたしたとして病院に入院します。
本作品は、ゴッホが入院したアルルの病院の病室の様子を描いた作品ですが、本作品とは別に、アルルの病院の中庭を描いた作品「アルルの病院の中庭」も制作しています。
どちらも退院後に制作された作品ですが、アルルの家や病院など戻るところがない状況のゴッホの心情を表現しているような印象です。
その後、ゴッホは、アルルから20Km程のサン=レミの療養所へ移ります。
作品 アルルの病院の病室
本作品は、ゴッホが病院を退院後、半年ほど経って描かれた作品です。
「アルルの病院の病室」
(1889年)
長く伸びる廊下が印象的な画面構成となっています。
画面前面にストーブを囲むように患者たちが描かれていますが、患者たちは一様に下を向いています。
ゴッホらしい彩色で天井や壁は青色、床は茶色と補色関係となっています。
ゴッホらしい彩色となっていますが、明るい色彩ではなく作品からは暗い印象を受けます。
長く続く廊下や下を向いている患者の描写は当時のゴッホの孤独な心情を投影させているのかもしれません。
ゴッホは本作品の他に、アルルの病院の中庭を描いた「アルルの病院の中庭」という作品も制作しています。
「アルルの病院の中庭」
(1889年)
「アルルの病院の中庭」においても建物に青色と黄色で配色されていますが、花壇等には明るい色彩が見られない描写となっています。
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