フィンセント・ファン・ゴッホは生涯で2,000点近くの作品を制作していますが、海辺の作品は数えるほどしかなく、本作品はその内の一作です。
ゴッホ自身が海よりも麦畑やオリーブ畑、そこで働く農夫の方に興味があり描きたかったためと思われます。
サント=マリーは、南仏アルルから近い地中海沿いの小さい漁村サント=マリー=ド=ラ=メールのことで、ゴッホが珍し小旅行して1ヵ月程滞在した村です。
本作品「サント=マリーの浜辺の釣り船」は、くっきりとした輪郭線や単色で塗られた船や海などゴッホには珍しい画風の作品となっています。
作品 サント=マリーの浜辺の釣り船
単色で塗られた船や海、陰影なく平面的な描写、黒くハッキリ描いた輪郭線などゴッホの作品ではないような画風の作品です。
「サント=マリーの浜辺の釣り船」
(1888年)
ゴッホが小旅行で1ヵ月ほど滞在した、地中海沿いの漁村で制作した作品で、他に数点、作品を制作しています。
(参考)「サント=マリーの海の風景」(フィンセント・ファン・ゴッホ)
(1888年)
上記の作品と比べても、釣り船の描写は意図的に自身の作風とは変えて描写しているのが分かります。
彩色は単色で、陰影も少なく平面的で、筆跡もありません。
空の描写とは対照的です。
ゴッホは、日本の浮世絵に強く憧れており、南仏アルルへ移り住んだのも浮世絵のような明るい色彩の作品を描きたいとの希望からでした。
本作品の釣り船の描写は強く浮世絵を意識して描いた描写だと考えられます。
また、本作品は南仏アルルでゴーギャンと共同生活をする前に描いており、ゴーギャンが来るのを待ち望んでいた時期の作品で、作品の中の舟にフランス語で友情という意味の「AMITIE」が書き込まれています。
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