ヨハネス・フェルメール 「デルフトの眺望」

ヨハネス・フェルメール

室内の人物を描いた作品が多いヨハネス・フェルメールが描いた数少ない風景画です。

フェルメールの風景画は本作品と「小路」の2点のみの現存が確認されています。

また、デルフトはフェルメールが生涯過ごした町で、作品にはフェルメールが洗礼を受けた教会やフェルメールが埋葬された教会が描かれています。

作品:デルフトの眺望

デルフトの眺望
1660-1661年

1660-1661年
ヨハネス・フェルメール
「デルフトの眺望」
マウリッツハイス美術館
(オランダ デン・ハーグ)

フェルメールは、建物の位置やサイズを実際の景色から調整して描いています。

フェルメールは、生涯をデルフトで過ごし、彼が関係した教会を本作品に描いています。

フェルメールが洗礼を受けた教会

フェルメールが埋葬された教会の塔

作品内の様々な技法

フェルメールは本作品中に様々な技法を施しており、後世の画家たちにも絶賛されています。

水面

作品を横切るように描かれている川の水面は薄めた青を何層にも塗り込み、水の揺らぎを表現しています。

この技法はグレース法と呼ばれ、「真珠の耳飾りの少女」の青色のターバンにも使用されています。

ニシン漁船

ニシン漁船が描かれていますが、水面の光が照り返したような斑点が船体に描かれています。実際には、当時の木造漁船では、この様に強く光を反射しません。

フェルメールは点を使って光を表現しています。

また、顔料が乾かないうちに顔料を塗り重ねるウェットインウエット技法という技法が用いられていると言われています。

雲による光の調整

手前の川の上空は曇り空で描き、奥に行くほど晴れています。

雲の切れ間から光が町の右側に多く当たっているように描き、作品に奥行きを与えていると言われています。

人数を調整、牛乳を注ぐ女性

川辺に数人の人物が描かれています。フェルメールは右側で談笑する女性の横に男性を一人描いていましたが、完成時に塗りつぶしていることがX線調査で判明しています。

右側で談笑する女性達の左の女性はフェルメールの別の作品、「牛乳を注ぐ女」を思わせる服装をしています。

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