17世紀のオランダ黄金期の代表的画家フランス・ハルスの晩年の作品「養老院の女性理事たち」です。
本作品は、当時オランダでよく描かれた集団肖像画として描かれており、男性の理事たちを描いた「養老院の理事たち」の対の作品となります。
暗い背景とモノクローム的な色彩の中に女性理事たちの表情や皺のある手などの強調により、集団肖像画でありながら女性理事たちそれぞれに、鑑賞者の視線が向けられるような描写となっています。
また、本作品では、いろいろな色との配合により微妙に違う何色もの黒色で彩色しており、後年、鑑賞した画家たちにより数点の複製画が描かれています。
作品 養老院の女性理事たち
本作品「養老院の理事たち」はハルスの晩年の作品です。当時、オランダでよく描かれていた集団肖像画のなかでも、それぞれの人物描写がされた傑作の作品とされています。
ハルスの特徴となる早く、粗い筆跡で女性理事たちの表情や皺のある手などを描写して暗い配色のなかに動きを作っているようです。
また、本作品は、微妙に違う何色もの黒色で彩色されており、単調な色彩にならず鑑賞者が飽きない色彩になっています。
本作品に描かれている女性理事たちは、それぞれ名前や役割も判明しています。
左から会計士、理事長補佐、理事長、秘書、寮母となっています。
ハルスは、19世紀にはいり再評価され、本作品は、後年の画家たちにより何点か複製画が描かれています。
エドゥアール・マネによる複製画
ジョン・シンガー・サージェントによる複製画
本作品は、男性の理事たちを描いた「養老院の理事たち」の対の作品となっており、2作ともフランス・ハルス美術館で展示されています。
「養老院の理事たち」
(1664年)
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