16世紀のフランドル(現在のベルギー、オランダ地区)の画家ピーテル・ブリューゲルの作品「ベツレヘムの人口調査」です。
ブリューゲルは、当時の人々の様子や町の様子を詳細に描いた作品を多く制作しました。
そのような多くの作品のなかにはキリスト教的寓意や聖書のなかの物語を人々の生活の描写に含ませたものも多く、本作品「ベツレヘムの人口調査」もそのような作品のひとつです。
ベツレヘムとは、イエス・キリスト生誕の地で現在はパレスチナにある町です。
作品 ベツレヘムの人口調査
本作品は、当時のフランドル地方の支配者ではスペインのカール5世によって行われた人口調査と税金の徴収の様子が描かれています。
ブリューゲルは、当時のフランドルの様子を背景に新約聖書内の話を被らせて描いています。
「ベツレヘムの人口調査」
(1566年)
ブリューゲルは本作品で新約聖書にある「ローマ皇帝による全世界の人口を調査する命令がでた為、住民登録をするため人々は故郷へ帰らなければならなくなり、ヨゼフもイエス・キリストを身ごもったマリアをつれてベツレヘムへ戻らなければならなくなった。」という話を描いています。
中央から右寄りにロバに乗り青いマントを着ている妊婦のマリアとロバをひくヨゼフが描かれています。ヨゼフが担いでいるのは大工道具です。
ヨゼフとマリアが向かっているのは旅籠兼臨時税金徴収所で、住民登録と税金を支払いに訪れた人々で混雑しています。
臨時税金徴収所の前では豚の解体がされているようです。
子供が膨らませているのは、豚の膀胱で当時はよく子供の玩具などととして利用されていたようです。
マリアは後にこの地の馬小屋でイエス・キリストを生むのですが、作品中では右奥に崩れた塔が描かれ左に教会が描かれています。
夕日により対比されておりイエス・キリスト誕生により世界が変わることを表現しているのかもしれません。
コメント