初期フランドル派の巨匠ピーテル・ブリューゲルの作品でその後、多くの複製画制作されるほど人気があった「鳥罠のある冬景色」です。
15世紀から19世紀半ばまで小氷河期といわれる時代でヨーロッパは現在よりも気温が低かったことがわかっています。
また、本作品が描かれた1564年12月には大寒波が到来し地面が3ヵ月近く凍結したと言われています。
そんな凍てつく冬のなかでスケートやアイスホッケーなどで遊ぶ子供の様子を描いた本作品は当時では画期的な表現だったようです。
また、本作品はブリューゲルの他の作品同様に人々への警鐘も込められています。
作品 鳥罠のある冬景色
凍った川でスケートやアイスホッケーで遊ぶ子供たちの描写とともに作品前景右側には鳥罠、前景左側に水汲み用の穴が描かれています。
「鳥罠のある冬景色」
(1565年)
一見すると冬の平和な街の様子が描かれているように感じられますが、鳥罠や氷上の穴の描写は、平和な日常や人生における思わぬ落とし穴や危険を警鐘しています。
当時、冬の景色を描写した作品はなく、冬の弱い日光や枯れた立木を描いた本作品は当時、新しい作風として人気を得たようです。
遠くには別の町がうっすらと描かれ、高い空と澄んだ空気の描写で厳しい寒さを鑑賞者にイメージさせています。
多くの人から本作品の複製をもとめらられて父親と同じく画家となっていた息子は、多くの複製を制作しています。
また、冬景色はその後のオランダ黄金期でも一つのジャンルとして人気となっておりヘンドリック・アーフェルカンプのような冬景色を専門とした画家も登場しています。
「スケーターのいる冬景色」
(1608年頃)
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