印象派の代表的画家であり、当時ではまだ珍しかった女流画家のベルト・モリゾの作品「ブージヴァルの庭のウジエーヌ・マネと娘(田舎にて)」です。
ブージヴァルとはパリ郊外セーヌ河岸の行楽地でアルジャントゥイユ同様、パリ近郊の行楽地で他の印象派画家モネやルノワールも訪れ作品を制作しています。
モリゾは、ブージヴァルに別荘を持ち、4年間ほど滞在しその間に多くの作品を制作しています。
ウジエーヌ・マネはモリゾの夫であり、モリゾが師事し憧れた画家エドゥアール・マネの弟です。
作品 ブージヴァルの庭のウジエーヌ・マネと娘(田舎にて)
ベルト・モリゾが自身の家族である夫と娘を描いた作品で、モリゾの代表作にもなっています。
「ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘(田舎にて)」
(1881年)
模型のようなもので遊ぶ娘とそれをやさしく見つめる夫を描いており、作品からもモリゾの愛情と幸福に満ちた気持ちを感じることができます。
当時は、女性が画家として活躍することは非常に難しく、特に結婚後も画家を続けることは社会的にも困難でした。
モリゾの姉も結婚を期に画家の道を諦めており、モリゾも非常に残念に思っていたようです。
夫となったウジエーヌ・マネは、兄が有名画家であり、実家が資産家であったことからモリゾの画家としての活動を大きくサポートしています。
モリゾは、夫の兄であるエドゥアール・マネに憧れ、師事しており、マネの多くの作品でモデルも務めています。
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」(エドゥアール・マネ)
(1872年)
モリゾは、マネの弟ウジエーヌ・マネと結婚しますが、マネの影響から脱したように結婚を期に画風は大きく変化しており、より伸びがある筆跡と色彩も明るく優しを感じる画風となっています。
(モリゾの初期の作品)「ロリアンの小さな港」
(1869年)
(モリゾの初期の作品)「モリゾ夫人とその娘ポンティヨン夫人」
(1869-1870年)
夫や娘お描写の他、背景の花や草木もより明るい色彩となっており、自身の気持ちを画面に投影したような作品となっています。
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