印象派の女流画家で、当時では珍しく結婚後も画家として活躍が出来たベルト・モリゾの作品「化粧をする後ろ向きの若い女性」です。
「鏡の前の女性」「化粧室の婦人」とも呼ばれています。
本作品はモリゾが師事したエドゥアール・マネの弟ウジエーヌ・マネと結婚した1年後に制作された作品です。
ウジエーヌ・マネはモリゾの画家としての才能、活動に非常に理解していたことから、モリゾは結婚後も画家として活動、女性目線の作品を多く制作しています。
作品 化粧をする後ろ向きの若い女性
背中が大きく出ているドレスを着た後ろ向きの若い女性が描かれています。
鏡の前ですが、若い女性の顔は一切描かれておらず、鑑賞者の想像に委ねています。
「化粧をする後ろ向きの若い女性」
(1880年)
モリゾらしい粗く流れるような筆跡ですが、鑑賞者が一番に視線が行く女性の背中が画面中央に描かれ、女性も中央に配置され画面構成は落ち着いた構成となっています。
首に描かれている黒いリボンがより女性の背中を強調している印象です。また、耳の白いイヤリングがアクセントとなっています。
本作品では、女性の表情は分かりませんが、同じような服装と背景のソファが描かれた他の作品が4年前に制作されています。
「プシケ(姿見)」
(1876年)
どちらの作品も身支度している若い女性が女性であるモリゾに気を許している様子が伺え、女性の普段の様子が描かれていると思われます。
着ているドレスやソファーの様子から同じ部屋の同一人物がモデルと思えます。
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