ジョルジュ・スーラと共に点描描写を確立、新印象派と呼ばれたポール・シニャックの作品「アニエール、洗濯船」です。
本作品は、まだシニャックが点描描写を始める前、キャリア初期に描いた作品です。
シニャックは、印象派の代表的画家クロード・モネの筆触分割による水面の描写などに感銘を受けて、モネの技法を研究、影響を受けています。
シニャックが19歳の時に描いた本作品は、モネの影響による水面の描写が分かる作品となっています。
アニエールとはパリ郊外北西にある地区の名で、印象派をはじめ多くの画家が作品にした場所です。
洗濯船とは、15世紀ころまでパリ市民はセーヌ河の土手で洗濯していたのですが、セーヌ河の汚染がひどくなり、衛生上の問題からセーヌ河に浮かべた船内で洗濯を行い、河に汚染水が出ないようにしたものです。
作品 アニエール、洗濯船
ポール・シニャックが19歳の時の作品で、まだ点描描写を行う前、キャリア初期の作品です。
「アニエール、洗濯船」
(1882年)
シニャックは、16歳の時にクロード・モネの作品を鑑賞、モネの筆触分割による水面の描写に強く感動したと言われています。
本作品の水面の描写は、モネの筆触分割に影響を受けているのがはっきりと分かります。
(参考)「ラ・グルヌイエール」(クロード・モネ)
(1869年)
アニエールは、パリ郊外北西にある地区の名前ですが、産業革命や鉄道によりパリの人々が余暇を過ごす人気の場所となり、多くの画家が作品を描いた場所です。
点描描写をシニャックとともに確立したジョルジュ・スーラもアニエールを作品にしています。
(参考)「アニエールの水浴」(ジョルジュ・スーラ)
(1884年)
どちらの作品も画面の後方に煙を吐く煙突と工場が描かれており、上流階級が訪れるような余暇を過ごす場所ではないことが分かります。
シニャックは、1884年にスーラと出会い、スーラの点描描写に感銘を受け自身も点描描写による作品制作を始めますが、後年は、モネの影響を感じる大ぶりな点描と温かな色彩による作品を制作しています。
「サン=トロぺの港」
(1901年)
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