ジョルジュ・スーラとともに点描描写による表現方法を確立し新印象派と呼ばれたポール・シニャックの作品「サン=トロペの港」です。
新印象派とされた当初はジョルジュ・スーラの影響が強く、細かい点描による視覚効果を探求した作品を多く制作しましたが、もともとはクロード・モネに憧れており、より自然な描写を好んでいました。
本作品「サン=トロペの港」は、ジョルジュ・スーラが若くして亡くなった後に制作されて作品で、よりシニャックがもともと好んでいた描写となっていると言われています。
サン=トロペは南フランスの漁港で、ヨットが好きで、よく航海へでていたシニャックはサン=トロペに自宅を構え、海やヨットなどを描きました。
現在、サン=トロペは有名なリゾート地となっています。
作品 サン=トロペの港
盟友で友人でもあったジョルジュ・スーラが若くして亡くなった後、シニャックはサン=トロペへ移住し、自身の好きな海やヨットを自身らしい表現で描きました。
「サン=トロペの港」
(1901-1902年)
スーラとともに点描描写を確立した頃の作品とは違い、点描はより大きな点となっており、点描による視覚効果よりも色そのものの対比を意識した描写となっています。
「七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像」
(1890年)
点描はより大きな点となり、点同士で補色となる青とオレンジを配色しています。
また、画面全体でも補足関係となるオレンジ色と青色で構成しており、鑑賞者には安心感とともにオレンジ色の暖かさをより印象付けています。
スーラ亡き後、シニャックは新印象派からさらに独自の画風へと発展させたと言えます。
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