イタリア フィレンツェ生まれのアメリカ人画家ジョン・シンガー・サージェントが、当時その美貌でフランス パリの上流社会で有名となっていた女性を描いた作品です。
本作品は、サロンに出品されましたが、官能的過ぎて娼婦の様だ。と強い批判をあびてしまいます。
多くの批判をうけたサージェントはパリを離れてしまい、ロンドンでその後の生涯を過ごすこととなります。
作品:マダムXの肖像
「マダムXの肖像」
(1884年)
当時、パリ社交界で有名となっていたアメリカ人バージニー・アメリ・アヴェーニョ・ゴートローという女性がモデルとなっています。
ゴートロー夫人はアメリカ生まれでしたがフランス人銀行家ピエール・ゴートローと結婚しパリで生活をはじめ、その美貌から社交界で有名な人物となったようです。
父親はアメリカ南北戦争で戦死、母親はフランスの貴族出身だったようです。
本作品は、当初「・・・夫人の肖像」とゴートロー夫人の名前を伏せて発表されましたが、すぐにモデルが誰かわかってしまい、人妻を官能的に描写していると批判を受けました。
発表時の作品は、片方のストラップが肩から落ちて描かれており、多くの批判を受けたため修正されています。
発表当時の作品
発表時は、肩のストラップを落として描かれており、当時の上流階級の人々にとってはショッキングだったようです。
サージェントは肩のストラップを描き直しましたが、人々に修正前の作品の印象が強く残ってしまい、作品を売ることはできませんでした。
さらに題名を「マダムXの肖像」とよりモデルの匿名性がでる題名に変更し、ゴートロー夫人の死後、作品をメトロポリタン美術館に売却しました。
その際、サージェントは手紙に「この作品はいままでで一番傑作だった気がする」と記しています。
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