エドゥアール・マネが1868年に描いた「バルコニー」です。1869年のサロンに入選・展示された作品です。
この作品は、フランシスコ・デ・ゴヤの「バルコニーのマハたち」にインスピレーションを得て制作されたとされています。
また、同時期に制作、サロンに出展された「アトリエでの昼食」も「バルコニー」と同じことを表現しようとしています。
作品:バルコニー
「バルコニー」
(1868-1869年)
本作品に描かれている4人は、マネの親しい人物をモデルとしています。
左側で手すりに肘をかけている女性は、後にマネの弟と結婚し、印象派画家として活躍するベルト・モリゾです。
右側の女性は、ヴァイオリニストのファニー・クラウス。
マネの妻でピアニストであったシュザンヌ・マネの演奏仲間でした。
中央の男性は、マネの友人で画家のアントワーヌ・ギュメです。
奥にもう一人、男性が描かれています。
この男性は、マネの息子のレオンと言われています。
作品中の4人はそれぞれ別の方を向いており、お互いに関心がないように見えます。
当時のパリは都市化が急速に進みますが、都市化とともに市民はお互いが無関心となっていく様子を描いたと考えられています。
本作品は、ギュスターヴ・カイユボットが購入し、その後、オルセー美術館に所蔵されています。
ゴヤの「バルコニーのマハたち」
「バルコニーのマハたち」
(1800-1812年)
当時、「バルコニーのマハたち」がルーヴル美術館に展示されており、マネは、この作品からインスピレーションを得て「バルコニー」を制作したと言われています。
マハとは、娘を意味するのですが、隠語として娼婦を意味しています。
後ろに描かれている男性は、娼婦を斡旋する者たちとして描かれています。
アトリエでの昼食
「アトリエでの昼食」
(1868年)
「バルコニー」と同じ時期に制作され、サロンに出展、入選した作品です。
中央の男性は息子のレオンとされています。
レオンは、マネが妻シュザンヌ・マネと結婚前に生まれた子供とされていますが、マネは結婚後もレオンを認知しなかったため、関係が疑問視されています。
「アトリエでの昼食」においても「バルコニー」と同様に、互いが無関心の様子が描かれており、当時の都会の人々の様子が表現されています。
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