19世紀印象派が生まれるのに大きな影響を与えたエドゥアール・マネとエドガー・ドガがそれぞれ描いた「ロンシャン競馬場」です。
当時、イギリスから来た競馬がフランスで近代的な娯楽として上流階級の人々に人気が出てきた時期で、なかでもパリ郊外にあるロンシャン競馬場に人々は訪れ競馬を楽しんでいました。
上流階級出身のマネとドガは、ロンシャン競馬場を題材に対照的なイメージの作品を制作しています。
作品 ロンシャンの競馬(エドゥアール・マネ)
マネは革新的な構図で競馬の様子を描いた作品を発表しています。
「ロンシャンの競馬」
(1866‐1867年)
従来、競馬など馬が走る姿は横から描写されていることが一般的でしたが、マネは競走馬と騎手が鑑賞者に向かってくるような描写をしています。
当時の人々はこの描写にとても驚いたようです。
観客も含めて周辺はぼやかして描かれており、競走馬のスピード感を感じる描写です。
背景の木々や空も筆跡を生かしながらもぼやかして描いており、よりゴールラインを通り過ぎてきた競走馬を強調しています。
土ぼこりを上げて鑑賞者に向かってくる競走馬に鑑賞者の視線は集中してより、こちらに向かってくるイメージを際立たせています。
作品 ロンシャンの競馬場(エドガー・ドガ)
ドガは、馬を好んでおり馬を題材に複数の作品をのこしています。
ロンシャン競馬場にも何度も通ったようですが、ドガの興味は競馬ではなく馬やその周辺の人々にあったようです。
「ロンシャンの競馬場」
(1873‐1875年)
ドガは、マネとは対照的にリラックスしている騎手と競走馬を描いています。おそらく出走前の様子だと言われています。
ドガもマネ同様、周辺の様子をぼかして描いていますが、目的は作品に静けさや落ち着きを持たせる為とされています。
また、競走馬と騎手のグループを大きさを変えて3グループ配置して遠近感を出すと同時に、作品に落ち着いたイメージを与えています。
また、それぞれのグループの騎手は基本的に赤、青、黄色系の服で統一され、赤い服の騎手をそれぞれ中央に近く配置し、大小のグループ間にも統一性を持たせています。
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