19世紀の画家たちは、都市生活の象徴として鉄道を好んで描いていました。
エドゥアール・マネも鉄道という題名の作品を残していますが肝心の鉄道は描かれていません。
作品のモデル
作品の舞台は、パリのサン=ラザール駅としています。
当時、同駅周辺に住んでたいクロード・モネも同駅を題材に連作を残しています。
「サン=ラザール駅、構外の線路」 (1877年)
マネの作品では背景に線路と橋の一部が描かれています。
少女は友人の娘、女性はマネが良くモデルを依頼していたヴィクトリーヌ・ムーランにポーズをとらせ、描いています。
ムーランは「草上の朝食」「オリンピア」でもモデルを務めています。
「草上の朝食」(1862-1863年)
「オリンピア」(1863年)
この作品の謎
この作品は1874年のサロンに提出され入選しましたが評価は良くなかったようです。
それは、違和感があったからではないかと思われます。
「鉄道」(1873年)
① 鉄作の外にいる2人の関係性が曖昧。
本を読んでいる女性が少女に関心を寄せていないため、母と娘なのか知り合いの子のおもりなのか、家庭教師と教え子なのか不明です。
② 2人の服装の対比
少女は薄着で肩を出していますが、女性は暖かそうな服装で、少女が寒そうに見えます。
③ 脈略もなくブドウが描かれている
鉄作の前に、なぜかブドウが描かれています。
五感を表現
この作品は、「五感を表現している」との説があります。
①視覚:鉄柵の中を見る少女の視線
②聴覚:汽車の音
③触覚:少女が鉄柵を握る手
④臭覚:汽車の煙
⑤味覚:鉄柵の外に置かれたブドウ
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