アメリカ人画家でありながらヨーロッパ各地を回り、絵画を勉強するとともに印象派のエドガー・ドガと知り合い、大きく影響を受けたメアリー・カサットの作品「お茶」です。
カサットは印象派とされていますがドガ同様に他の印象派画家の様な光の描写への興味よりは人物、特に女性や母子の様子を描いた作品を多く制作しています。
本作品「お茶」でも、他の印象派画家が戸外の陽の光の移り変わりの様子などを描くのに対して、室内でお茶を飲む女性二人を描いています。
本作品はボストン美術館に所蔵、展示されていますが作品中のティーセットの実物も一緒に展示されています。
作品 お茶
印象派の画家とされていますが、女性や母子の様子を多く描いたメアリー・カサットですが、本作品ではお茶をのむ二人の女性を描いています。
印象派らしい描写は、テーブルのうえのティーセットが反射する光の様子のみです。
ことティーセットの実物の一部は作品とともにボストン美術館で展示されています。
二人の女性同様に画面では銀製のティーセットも目立つように描かれており、通常の画面構成では人物が最も目立つように描かれますが、カサットは人物と物を同等に画面上に描いています。
ちょうどお茶を飲むときの女性を描いて、顔が隠れるようにしていることからも人物が一番に目立たないような工夫と考えられます。
また、意図的に左右で人物と静物を分けた構成にしているようです。
縞模様の壁紙、暖炉や額縁の直線にたいして、女性の顔やカップ、ソーサー、ティーセットの曲線を対比してバランスを取っていいると考えられます。
本作品でのカサットの描写は、人物の肖像画的な要素を排除し画面のデザインや色彩などを考慮した描写として伝統的絵画への挑戦とも言われています。
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