印象派創始者の一人クロード・モネの印象派創設前の作品です。
クロード・モネは後の妻となるカミーユとの間に息子ジャンが生まれていましたが、カミーユとの結婚は認めらず、実家からの援助を得られないでいました。
作品もなかなか認められず、サロンへの入選もかなわず経済的に困窮していたモネは、援助を求め父親が暮らす港町サン・タドレスを訪れた際に描いた作品です。
印象派創設前の作品で、写実的描写がされており色彩においても実際の色彩に忠実に描かれたと思われます。
また、本作品は日本のある浮世絵を参考にされているとも言われています。
サン・タドレスのテラス(海辺のテラス)
本作品は、カミーユとの結婚を認めてもらえず経済的にも困窮していたモネが、結婚の許しと経済的援助を求めて父親を訪ねた際の作品ですが、作品からはそのような様子は感じられません。
輝くような陽光に照らされた家族は、幸福な様子を伺えます。
「サン・タドレスのテラス(海辺のテラス)」
(1867年)
作品前景に座るのはモネの父親と叔母です。
後景に描かれているのは従姉妹とその親族です。
本作品は、前景に華やかな花々の原色を使い、後景に光に照らされている海の様子を描き、水平に対比しています。
浮世絵の影響
モネは本作品についてルノワールへの手紙で「国旗がある中国の絵」と記載しています。また、ルノワールは本作品を「日本の絵」と称しました。
斜め上方から景色を描き、水平に色合いを分割する手法は浮世絵で多用されたものでした。
本作品は、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 五百らかん寺さゞゐどう」に影響を受けているのではないかと言われています。
当時はジャポニズムにより日本の浮世絵が多く収集されモネもその一人でした。
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