印象派の代表的画家クロード・モネが妻のカミーユと息子のジャンを描いた作品です。
後年、モネは同じような構図で、あらたに2点作品を制作していますが、描かれている女性はカミーユではありません。
「散歩、日傘をさす女」
1875年に制作され、同様にカミーユをモデルにした「ラ・ジャポネーズ」とともに1876年の第2回印象派展に出品されています。
「散歩、日傘をさす女性」
(1875年)

クロード・モネ
「散歩、日傘をさす女性」
ナショナル・ギャラリー(アメリカ ワシントンD.C.)
鑑賞者が女性と子供を斜め下から仰ぎ見る構図で描かれています。
印象派の特徴である光の描写により、白いドレスが逆光で青白く描かれています。

戸外で制作され、数時間で完成させたそうです。奥に描かれているのは長男のジャンです。

分割筆蝕で雲が流れるように描かれ、風が吹いている様子も分かります。

「ラ・ジャポネーズ」
(1876年)

クロード・モネ
「ラ・ジャポネーズ」
ボストン美術館蔵(アメリカ ボストン)
この「散歩、日傘をさす女」を制作した4年後、1879年にカミーユは他界してしまいます。
他の作品
他の2点は、「戸外の人物習作(左向き)」「戸外の人物習作(右向き)」で、カミーユの死後に再婚した妻の連れ子をモデルに描かれています。
「戸外の人物習作(左向き)」
(1886年)

クロード・モネ
「戸外の人物習作(左向き)」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)
「戸外の人物習作(右向き)」
(1886年)

クロード・モネ
「戸外の人物習作(右向き)」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)
カミーユをモデルにした「散歩、日傘をさす女」は、ベールの下にカミーユの顔が少し判別できるように描かれていますが、上記2点の作品では、顔の表情はほとんどわかりません。
この2点は、カミーユが他界して6年後に制作されましたが、モネは、カミーユを想い描いたとも言われています。

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