17世紀オランダのバロック期を代表する風俗画家ヤン・ステーンの作品「陽気な画家」です。
「愉快な画家」とも呼ばれています。
ヤン・ステーンは当時の市民の生活を好んで描き、特にテーブルを囲む家族や居酒屋で騒ぐ市民の様子など画面に多くの人物や物を描き騒々しくにぎやかな様子を描いた作品を多く制作しています。
実際「ヤン・ステーンの家族」という言葉が無秩序で散らかった様子を表す言葉としてオランダで使われています。
ヤン・ステーンは賑やかで生き生きした人々の様子を描きつつ、一方で作品には道徳的な意味を込めて制作されています。
「陽気な家族」と同じような構図で、同じ道徳的な意味を持たせた「大人が歌えば子供が笛吹く」という作品も制作されています。
作品 陽気な家族
本作品は、テーブルを囲み大人たちはお酒を飲み歌を歌って騒いでおり、子供たちも楽器などでそれぞれ楽しそうな様子が描かれています。
「陽気な家族」
(1668年)
大人たちは酒をのみ、楽しそうに歌を歌っているようです。
奥で笛を吹いている男性はヤン・ステーンの自画像と言われています。
大人の周りの子供たちはテーブルの上に座って楽器を吹いたり、パイプで煙草を吸ったり、娘が弟にワインをついだりと大人の様子をマネしているように描かれています。
ヤン・ステーンは本作品のなかで「子供は大人をみて育つ、そして悪い行いはすぐに真似るものだ」という意味を込めています。
ヤン・ステーンが作品に込めた意味を暖炉の上には「この父にしてこの子」という紙がぶら下がって描かれています。
作品 大人が歌えば子供が笛吹く
「大人が歌えば子供が笛吹く」は「陽気な家族」とも呼ばれ、構図や内容が似たような作品となっています。
「大人が歌えば子供が笛吹く」
(1668-1670年)
中央の老人が読んでいる紙には「そう歌えば、そう真似てピーピーとする」と記載されており、「陽気な家族」と同様に「子供は大人悪い行いは、すぐに真似をする」という意味です。
老人の後ろでは、大人から煙草を吸わされている子供や楽器を吹く子供が描かれています。
子供に煙草の吸い方を教えている男性はヤン・ステーンの自画像と言われています。
作品の左には真似をするという象徴のオウムが描かれています。
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