ルネサンス期の巨匠ラファエロ・サンティの作品で、当時の裕福な銀行家の別荘の壁に描かれた作品です。
計算された画面構成となっており、中央の女神(ガラテイア)を中心に渦巻くように周りが描写されており、中央に視線を誘導されます。
また、特徴的なイルカの描写は同時期の巨匠ミケランジェロの影響を受けているとも言われています。
作品:ガラテイアの勝利
「ガラテイアの勝利」
(1512年もしくは1514年)
ギリシャ神話にある「美しい海の精ガラテイアが島の羊飼アーキストと恋に落ちますが、ガラテイアに恋をする隻眼の巨人ポリュペーモスが愛し合う2人に嫉妬し、巨大な石を落としアーキストを殺してしまう」という物語を題材にしてます。
ラファエロは物語の主要な場面ではなく、海の精ガラテイアをイメージした作品を描いています。
画面構成
上空の天使の弓矢は明らかですが、イルカの手綱や周りの人物の手の向きや下部の天使の目線などで、中央のガラテイアへ視線を誘導しています。
さらに、ラファエロは中央のガラテイアへの視線の誘導に加え、渦巻くような視線誘導を加えており、中央のガラテイアを際立たせています。
ガラテイアのポーズ
ガラテイアの体を左にねじったポーズは、ラファエロ自身が1507年頃に制作された「アレクサンドリアの聖カタリナ」から来ていると言われています。
「アレクサンドリアの聖カタリナ」
(1507年頃)
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