ルネサンス盛期の画家で三大巨匠の一人ラファエロ・サンティは、聖母子の画家と言われるほど聖母子画を多くのこしています。
なかでも同じ構図で描かれた「牧場の聖母」「ヒワの聖母」「美しき女庭師」は、いずれも同時期に描かれたもので、いずれもラファエロの代表的作品です。
3作とも登場人物、構図、聖母マリアの服装など共通の特徴をもっています。
牧場の聖母
「牧場の聖母」
(1506年頃)
登場人物をピラミッド型に配置するのは、レオナルド・ダ・ビンチがはじめた構図でしたが、ラファエロはそれに習い、人物の配置と3人の目線でピラミッド型の構図にしています。
聖母マリアは典型的な赤いドレスに青いマントで描かれ、十字架を支えている子供がヨハネ、それに触れている赤ん坊がイエスです。
当時、聖母マリアは赤と青の服で描かれるのものとされました。赤はキリストの情熱、天の愛、犠牲など。
青は教会、天井の真実などを意味するものとされていました。
ヒワの聖母
「牧場の聖母」と同様、ピラミッド型で描かれ、登場人物も聖母マリア、ヨハネ、イエス・キリストと同じです。
「ヒワの聖母」
(1505-1506年頃)
「ヒワの聖母」のヒワとはゴシキヒワという鳥のことで、作品中でヨハネがイエス・キリストに渡そうとしている鳥です。
この鳥にある赤い斑点が、キリストが磔刑の際に茨の冠からとげを取ろうとしたところ、キリストの血がかかったとの伝説から、ヒワはイエス・キリストの磔刑を表しています。
美しき女庭師
「美しき女庭師」
(15070-1508年)
この作品の正式な名称は「聖母子と幼子聖ヨハネ」でしたが、牧歌的な風景から「美しき女庭師」という愛称が生まれ、定着しました。
ラファエロは聖母子像を50点ほど描いています。ラファエロは聖母子を若く美しい母と愛らしい幼児として描きました。
その親しみやすいい画風から当時から人気を呼び、その優美で調和のとれた作品は、その後のヨーロッパ絵画の理想形とされました。
コメント
[…] 盛期ルネサンスの画家、建築家。ペルジーノの弟子。聖母子像をモチーフとした作品で人気を集める。主な作品は『牧場の聖母』。 […]