ラファエロ・サンティ 「騎士の夢」

ラファエロ・サンティ

盛期ルネサンスを代表する画家ラファエロ・サンティがローマ帝国時代の第二次ポエニ戦争の英雄スキピオに関する逸話を描いた作品「騎士の夢」です。

スキピオはローマ帝国の将軍でカルタゴの将軍ハンニバルを破った将軍としてローマにとっては英雄的な人物です。

ラファエロは、本作品で騎士が持つべきものとして武勇、教養と愛情を女性を通じて表現しようとしています。

また、本作品は「三美神」という作品と対の作品と考えられています。

作品 騎士の夢

本作品「騎士の夢」は、月桂樹の木の下で眠ってしまったスキピオとその両端に対照的な女性を描いています。月桂樹自体にも勝利の象徴として描かれています。

女性二人がスキピオの夢の中に現れたという設定です。

騎士の夢
1504年頃

1504年頃
ラファエロ・サンティ
「騎士の夢」
ナショナル・ギャラリー(イギリス ロンドン)

両端に描かれている女性は、騎士が持つべきものとして武勇、教養と愛情を表しており、左に描かれている女性が武勇と教養を表しています。

女性は右手に剣、左手に書物を持っています。また、髪をまとめた落ち着いた様子で描かれています。

左の女性は愛情を表しています。

手には花をもっており、その花は愛を表すギンバイカという花だとされています。

左の女性に比べ優雅で華やかな様子で女性が描かれています。

この愛情をあらわす女性は下絵では、より魅惑的なドレスを着た女性となっていましたが最終的にはよりおちついた様子として描いたようです。

「騎士の夢」の下絵
ナショナル・ギャラリー(イギリス ロンドン)

背景には分かれ道が描かれており、武勇と教養の女性の方は岩山へ向かっており、愛情の女性の方は湖のほとりへ向かうように描かれています。

本作品「騎士の夢」は男性に求められる武勇、教養、愛情が表現されていると言われており、対となる作品「三美神」は女性に求められる純潔、美、愛を表現しているとされています。

三美神
1504-1505年頃

1504-1505年頃
ラファエロ・サンティ
「三美神」
コンデ美術館蔵(フランス シャンティイ)

両作品は男性と女性に求められる事柄が描かれていることから、結婚を記念して制作された作品とも考えられています。

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