盛期ルネサンス期に多くの聖母子像を描いたラファエロ・サンティのキャリア後期に制作された作品です。
ラファエロのキャリア中期にフィレンツェ滞在期に制作した他の多くの聖母子像とは異なった作風で描かれています。
とても暖かいイメージを受けるこの作品は、ラファエロが数多く描いた聖母子像のなかでもとても人気のある作品となっています。
作品:小椅子の聖母
「小椅子の聖母」
(1513-1514年)
それまでのラファエロの描く聖母子像は、当時の聖母を描く際の決まり事であった、赤い服に青いマントで描かれていますが、本作品では緑のストールが加えられています。
また、本作品では、聖母が抱く赤ん坊のイエス・キリストが黄色い服を着るなど暖色を意識的に使用しています。
暖色を中心にすることで作品に温かみを持たせるとともに、中心から外へ向けて暖色から寒色へと色彩に変化を与えています。
ドミニク・アングルが画中画に使用
19世紀に新古典主義を確立したドミニク・アングルはラファエロをとても崇拝しており自身の作品に「小椅子の聖母」を画中画で描いています。
「子供たちと遊ぶアンリ4世」
(1818年)
「ラファエロとラ・フォルナリーナ」
(1814年)
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