カラヴァッジョの明暗対比の影響を受けた画風で、17世紀に活躍したジョルジュ・ド・ラ・トゥールは「悔悛するマグダラのマリア」を題材に似たような構図で複数の作品を制作しています。
ラ・トゥールの「悔悛するマグダラのマリア」として現在4点の作品が判明しています。
カラヴァッジョの明暗対比の影響を受けつつ、カラヴァッジョとは違いラ・トゥールは炎の光の描写なで作品に静寂な印象を与えています。
作品 ゆれる炎のあるマグダラのマリア
現在判明してる4点のラ・トゥールの「悔悛するマグダラのマリア」の初期の方の作品とされている作品です。
「ゆれる炎のあるマグダラのマリア」
(1638-1640年)
マグダラのマリアが右手を置いている頭蓋骨は死の象徴として描かれています。また、炎は儚さの象徴とされています。
マグダラのマリアは娼婦でしたが、その罪を悔い神を受け入れ聖女となった女性ですが、ラ・トゥールの作品ではそのような物語性を反映せず、炎を眺めるマグダラのマリアが神秘的に描かれています。
作品 鏡の前のマグダラのマリア
「鏡の前のマグダラのマリア」
(1635‐1640年)
「鏡の前のマグダラのマリア」も4点の作品のうち初期の作品と考えられています。
動き描写の無いラ・トゥールの「悔悛のマグダラのマリア」作品ですが、この作品ではマグダラのマリアの思いが炎を揺らしているような描写がされています。
作品 ふたつの炎のあるマグダラのマリア
「ふたつの炎のあるマグダラのマリア」
(1640年)
マグダラのマリアの前に描かれた炎を移す鏡は虚構の象徴で、同様に虚構の象徴である宝石類が机のうえに投げ捨てられています。
娼婦としての生活と決別し、悔悛と瞑想の生活に身をささげるマグダラのマリアの思いを描いていると思われます。
作品 灯火の前のマグダラのマリア
「灯火の前のマグダラのマリア」
(1640年)
この作品は、「ゆれる炎のあるマグダラのマリア」と同じ構図で描かれています。しかし、「ゆれる炎のあるマグダラのマリア」と比べ、明暗対比が強くなり、マグダラのマリアの描写も影が強いためより洗練された女性のように見えます。
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