17世紀のフランスで活躍、印象的なロウソクの炎に照らされた聖人の作品や当時の風俗画を描いたジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品です。
当初はラ・トゥールの作風とは違ったことからラ・トゥールの作品とは思われていなかったようですが、現在はラ・トゥールの作品と確定しています。
ラ・トゥールは生前は著名な画家として活躍していたのですが、その後は忘れらてしまい再発見されたのは20世紀初頭でした。
そのため、確認されている作品も少なく生涯についてもあまり分かっていません。
本作品は、同なじ構図で2点のこされています。
作品 悔悛する聖ヒエロニムス (グルノーブル美術館蔵)
のこされる2点の作品のうち最初に制作されたと思われる作品です。
作品は、シリアで数年間修行を行い数々の誘惑に打ち勝ち、聖書をラテン語に翻訳するなどした聖ヒエロニムスが誘惑に負けた罰として自ら鞭を打つ様子を描いています。
「悔悛する聖ヒエロニムス」
(1630-1635年頃)
足元には聖書が描かれて光に照らされているようです。
本作品では聖ヒエロニムスが聖書よりも古代ローマなどの文学に心引かれた罰として自ら鞭を打っている様子描いているため、聖書が印象的に描かれています。
また、聖ヒエロニムスは聖書をヘブライ語からラテン語に翻訳した業績を示してもいると思われます。
作品 悔悛する聖ヒエロニムス (ストックホルム国立美術館蔵)
グルノーブル美術館が所蔵する作品の後に制作されたと考えられている2点目の作品です。
1作目と比べ聖ヒエロニムス身体の描写が細かくされておらず、聖書にも光が当たっていないように見えます。
1作目には描かれていない大きな帽子が聖ヒエロニムスの後ろに描かれています。
この帽子はカトリック教会の枢機卿の帽子であることから、当時、権勢を誇っていたリシュリュー枢機卿が保有していた可能性があると考えられています。
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