19世紀の想像や幻想などを描く象徴主義の画家オディロ・ルドンがギリシア神話の物語を題材に描いた作品です。
一つ目の巨人族ポリュフェモスという怪物がガラテイアという美しい海の精に恋をします。
しかし、ガラテイアが愛していたのはアキスという美青年でした。
ポリュフェモスは逆上してアキスを殺してしまいます。
作品の中のポリュフェモス
ギリシア神話で語られているこの物語は、多くの芸術家に好まれ、絵画や彫刻の題材とされました。
「ガラテイア」(1880年)
ギュスターヴ・モロー作
ポリュフェモスは三つ目で描かれています。
オディロン・ルドンは、ポリュフェモスの目を強調して描く事で、ガラテイアとの実らない恋や怪物の孤独感を表現しているとされています。
「キュクロプス」(1914年)
オディロン・ルドン
フランス南西部のボルドー出身で、地主の次男として裕福な家庭に生まれました。
しかし、生後2日で叔父のもとに預けられ、11歳まで親元を離れ生活していたようです。
父親の意向で、国立美術学校の建築科を受験しますが合格できず、画家の道を歩みます。
ルドンの「自画像」(1880年)
ルドンは、印象派と同世代の画家ですが作風は大きく違い、もっぱら幻想的な世界を白黒で描き続きました。
「眼=気球」(1878年)
「泣く蜘蛛」(1881年)
ルドンが色彩を用いるようになるのは、50歳をすぎてからです。
特に花瓶の花の描写が有名です。
「トルコ石色の花瓶の花」(1911年頃)
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