マリー・アントワネットのお抱え画家で親友であった18世紀で最も有名であった女性画家エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランが当時、イギリス海軍のネルソン提督の愛人として有名であったエマ・ハミルトンを描いた作品。
エマ・ハミルトンは鍛冶職人の娘として生まれたのち、家政婦として働きはじめたようですがその美貌から貴族の愛人や絵画のモデルとして有名になっていきました。
エマは、イギリスの外交官ハミルトンと結婚しイタリア ナポリに赴任する夫とともにナポリへ移り住みます。
そこで、フランス革命によってナポリに避難していたルブランと会い、親交を持つとともに自身をモデルにした作品を注文しました。
作品 アリアドネーに扮したハミルトン嬢
「アリアドネーに扮したハミルトン嬢」
(1790年)
本作品は、ギリシャ神話の女神アリアドネーに扮したエマ・ハミルトンを官能的に描いています。
ルブランはエマの夫ハミルトンから作品制作の注文を受けて、本作品を制作しましたが、後にエマの愛人のイギリス海軍のネルソン提督が買い取っています。
奥に船が描かれており、愛人のネルソン提督を暗示しているとも言われています。
作品 バッカスの巫女に扮したエマ・ハミルトン
「バッカスの巫女に扮したエマ・ハミルトン」
(1790-1791年)
ルブランは1790年から1792年の2年間ナポリに滞在し、その間エマ・ハミルトンと知り合い、エマをモデルに作品を描いています。
エマは、ローマ神話のワインの神バッカスの巫女として頭にブドウの葉を巻き付けています。
背景にある火山はヴェスヴィオ火山で、ハミルトンの別荘から見ることが出来たそうです。
ルブランは、上流階級の社会で地位を得て活躍するエマを認めていたようですが、服のセンスや知性が無いなど嘲笑していたとも言われています。
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