バロック期の巨匠で画家の他、外交官として活躍したピーテル・パウル・ルーベンスが描いた女性の肖像画です。
ルーベンスが描いた女性の肖像画のなかでも有名な作品の一つです。
また、モデルのシュザンヌ・フールマンはルーベンスが再婚したエレーヌ・フールマンの姉でもあります。
この作品は、題名をしばらく「麦わら帽子」として呼ばれ、その名で広く知られていました。
作品:シュザンヌ・フールマンの肖像
シュザンヌ・フールマンはルーベンスの友人であり顧客でもあったダニエル・フールマンの7人姉妹の3番目の娘です。
ダニエル・フールマンは裕福な商人で、作品の娘も高級な衣服や宝飾品を身に着けています。
「シュザンヌ・フールマンの肖像」
(1622-1625年)
本作品では、ルーベンスは画面左上から日の光が当たっているように描き、顔は帽子の影で覆われる一方で胸元を白く照らして強調しているようです。
また、背景の右側に黒い肩掛けからのびるように黒い雲を描き、左上の青空と右下を対比させています。
本作品を制作した5年後の1630年、ルーベンスはシュザンヌの妹エレーヌと再婚しています。きっかけはこの作品制作だと言われています。
ルブラン 「麦わら帽子の自画像」
マリーアントワネットの友人であり、お抱えの画家であったエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランは、1781年アントウェルペンで「シュザンヌ・フールマンの肖像」を鑑賞、同様の技法で自画像を制作しています。
「麦わら帽子の自画像」
(1782年)
背景は青と黒の対比がされており、胸元に日の光が当たって反射しているように描かれています。
当時、ルーベンスの「シュザンヌ・フールマンの肖像」はシュザンヌはフェルトの帽子をかぶっているにもかかわらず「麦わら帽子」とよばれておりました。
ルブランは、ルーベンスの作品の誤った作品名にちなんで、自身は麦わら帽子をかぶった自画像を制作、タイトルも「麦わら帽子の自画像」としています。
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