ルネサンス期の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの作品で、彼の作品のなかで女性の肖像画は4点のみですがその内の1点です。
本作品に描かれている女性が抱く白貂は当時、王族や貴族などの上流階級の人々が毛皮を衣服として重用してたことから、女性が上流階級の人間であることを示唆しています。
また、オリジナルからは背景が黒色に塗り替えられており、女性は頭に透明なベールをかぶっていたのですが、特徴的な髪形に描きかえられてしまっています。
作品 白貂を抱く貴婦人
作品では女性は顔を右側に向けていますが、体は左側を向けた体をねじった三角形の状態で描かれており、レオナルド・ダ・ヴィンチは躍動感を表現する技法としてこのポーズをよく用いました。
「白貂を抱く貴婦人」
(1490年)
黒く塗りつぶさた背景と描きかえられた髪形と手
本作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品のなかでも保存状態が良い方とされていますが、背景は黒く塗りつぶされています。また、当初、女性が被っていたとされるヴェールが特徴的な髪形に描きかえられています。
また、白貂を抱く手も描き加えられています。
しかし、手の血管の描写やスジに至る描写はレオナルド・ダ・ヴィンチによるものとされ彼の人体に対する知識の深さを証明しています。
作品の表面にはレオナルド・ダ・ヴィンチの指紋がついており、筆遣いを和らげ、ぼかしたものにするために指を使って作品を完成させたことを示しています。
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