17世紀オランダ黄金期の画家レンブラント・ファン・レインの風景画「風車」です。
本作品「風車」は1977~1979年にかけて修復を受け、その際、作品の表面を厚く覆ってい変色してしまったニスを除去したことで、それまでの作品への認識が誤っていた事が判明した作品です。
また、修復により制作年も見直しされました。
修復前は変色したニスで暗く覆われていたため陰鬱な印象を受ける作品となっており、レンブラントがb経済的に困窮していた時期である1650年代に、その精神状態を反映して制作された作品と考えられていました。
修復後は1630年代の制作で、暗く陰鬱な印象ではなくなり、肯定的な認識へ修正されました。
作品 風車
暗い雨雲から青空がのぞき遠くから徐々に明るくなってきているような空の下に、日を浴びる風車とその周辺に一般の人々の様子が描かれています。
「風車」
(1645-1648年)
修復前の作品は、とても暗いイメージで現在とは反対の印象を受けます。
修復前の「風車」
修復以前は、レンブラントの晩年の経済的困窮した状況を反映した作品として1650年以降の作品とされてきました。
作品は夕方から夜へ変わる様子を描いたものと考えられていたようです。
実際は、空は雨雲から青空がのぞき、遠くから徐々に明るくなってきているような印象を受けます。
また、風車が日の光を受けているようにも見えます。
風車の下では、日常の生活を営む人々が描かれています。
レンブラントが本作品を制作した1640年代後半はオランダ独立戦争が終結にむかっている時期でした。
オランダを風車に例えて、厚い雨雲が去っていき青空が現れ、風車が日の光をあびている様子を描いてこれからのオランダの明るい未来を表現したのかもしれません。
また、風車の下の人々は、独立戦争時もたくましく生活した当時のオランダの人々を描いたのだと思います。
道を歩く老婆と少女
水辺で選択する女性達
船を漕ぐ男性
対岸には牛や教会の塔が描かれています。
まだ、非常に分かりずらいですが、修復によって道を歩く老婆と少女の後方に坂を上る男性が描かれているのが判明しました。
レンブラントの作品には、ニスの変色により作品のイメージが変わってしまったものとして、代表作でもある「夜警」があります。
作品自体は昼の様子を描いたものでしたが、ニスの変色により夜の風景となってしまったため、その後「夜警」という名で呼ばれるようになりました。
「夜警」
(1642年)
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