17世紀オランダ黄金期に活躍した巨匠レンブラント・ファン・レインの作品「ベルシャザルの饗宴」です。
旧約聖書に出てくる場面を作品にしたもので、その場の一瞬を切り取ったような描写は鑑賞者がその場にいるような印象を与えます。
ベルシャザルとは、ユダヤのエルサレム神殿から多くの神聖な遺物を奪取したバビロニア国の最後の王とされる人物です。
本作品は、ベルシャザルがエルサレム神殿から略奪した黄金の杯などを使用して饗宴をしていたところ、突然、神の手が表れてベルシャザルの王国が亡ぶ予言を壁に描いている場面です。
作品 ベルシャザルの饗宴
神の手が予言を記する光と周辺の暗闇を対比した作品で、ペルシャザルの衣類など詳細に描写されています。
「ペルシャザルの饗宴」
(1635‐1638年)
レンブラントは、本作品制作にあたり友人や家族にモデルになってもらったようで、王のモデルの男性は「高貴なスラブ人」のモデルと同一人物です。
「高貴なスラブ人」
(1632年)
また、王の隣で驚いてる女性はレンブラントの最初の妻、サスキア・ファン・オイレンブルフと考えられてます。
レンブラントはベルシャザル王を使って、画面の対角線を鑑賞者に意識させて王と神が記する予言に視線が最初に行くようにしています。
また、驚きのあまり杯からワインをこぼしてしまっている右下の女性は、イタリアのヴェネチア派でよく用いられていた短縮法を使用して遠近を強調して、人々の驚きを強調しています。
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