貴族の家の生まれでありながら、パリのダンスホールや酒場などに入り浸るようになり、踊り子や娼婦などの夜の世界の女性たちを多く描いたロートレックの作品「踊るジャンヌ・アヴリル」です。
ジャンヌ・アヴリルとは、当時の人気ダンサーでロートレックとも親しかったようです。
アヴリル自身も父親はイギリス貴族でしたが、母親が娼婦だったこともあり恵まれず、ダンサーとして身を立てていました。
ロートレックも下半身の成長が止まるという病気から、差別的な扱いも受けていたようで、似たような境遇に共感を得たのかもしれません。
作品 踊るジャンヌ・アヴリル
ジャンヌ・アヴリルはムーラン・ルージュの有名ダンサーで、足を大きく上げ不規則な動きをさせるダンスを得意としていました。
本作品でもアヴリルの足の動きが強調されています。
ロートレックは実際にアヴリルが実際に舞台で踊っているのを見ながら本作品を制作しており、早いタッチで描きています。
早いタッチはより、アヴリルの動きの速さを印象付けています。
主役のアヴリルを中心からはずす配置は、日本の浮世絵の影響かもしれません。
中心線にて踊り子のアヴリルとそれを鑑賞する男女を対比しているのかもしれません。
人物を中心からはずした配置にしているものの、体の傾きなどを対角線上に描いているため、構図の安定感はくずれていない印象です。
ムーラン・ルージュでの活躍により有名ダンサーになったアヴリルは他のダンスホールでも公演しますが、ロートレックにポスターを依頼してます。
このポスターもジャンヌ・アヴリルをよく表しているとして好評を得たようです。
(ジャンヌ・アヴリルの写真)(1893年)
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