19世紀末期から20世紀初期デンマークで活躍し、北欧のフェルメールとも呼ばれているヴィルヘルム・ハンマースホイの作品「ピアノを弾く妻イーダ」です。
作品名にあるように妻のイーダをモデルに静謐な室内をモノトーンを基調に描いた作品です。
ハンマースホイの作品には妻イーダが度々モデルとして登場しています。また、モノトーン基調も基本的にハンマースホイの作品の特徴となっています。
ハンマースホイは部屋へ差し込む陽の光の描き方や遠近法を意識した室内描写など17世紀オランダ黄金期の画家ヨハネス・フェルメールの影響を強く受けていると言われています。
作品 ピアノを弾く妻イーダ
ハンマースホイは妻イーダの後姿を多く描いていますが、本作品では隣の部屋でピアノを弾く様子を部屋の一部のように描いています。
本作品は、東京の国立西洋美術館に所蔵されており、日本に所蔵されている唯一のハンマースホイの作品です。
「ピアノを弾く妻イーダ」
(1910年)
画面左上から陽の光が入り込み遠近法を意識した部屋の描写はフェルメール作品の影響を強く感じる描写となっています。
しかし、フェルメール作品と比較すると、生活感や人間味は全く感じられず、静けさと不思議な感覚を与える作品となっています。
部屋の中やテーブルの上には、一枚の皿以外は全く物が描かれていません。
隣の部屋にはピアノを弾く妻を描いており、隣り合う部屋で何もない世界と人の他、音楽などがある世界を描いているような印象です。
妻には陽の光が当たっており、奥に描かれながらも強調されているようです。
ハンマースホイは本作品の様に、モノトーンを基調に静けさを強く印象付ける作品を描き、登場人物も後姿など鑑賞者と視線が合わないように描いており、不思議な印象を与える作風が特徴となっています。
コメント