19世紀後半から20世紀初頭に活躍したデンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイのデビュー作「若い女性の肖像 妹アナ・ハンマースホイ」です。
自身が住んだ部屋の様子や建物など人物を描いた作品が少ないヴィルヘルム・ハンマースホイですがデビュー作は自身の2歳年下の妹を描いて王立アカデミーの春季展覧会に応募しました。
残念ながら展覧会には落選してしまいますが、落選させた保守的なアカデミーと自由な描写を求める画学生との論争のきっかけとなった作品となります。
そのため本作品は名誉ある落選作品とされているようです。
作品 若い女性の肖像 画家の妹アナ・ハンマースホイ
北欧のフェルメールと呼ばれることもあるヴィルヘルム・ハンマースホイのデビュー作ですが、白黒を基調にした作風は既に確立しているようですが、まだ遠近法を強調したような作風にはなっていないようです。
「若い女性の肖像 画家の妹アナ・ハンマースホイ」
(1885年)
ほとんど人物の顔や表情を作品に描かないハンマースホイですが、デビュー作では鑑賞者とは視線を合わせないように描いていますが、妹の顔を描いています。
また、ハンマースホイの作品は室内を遠近法を強調した画風が特徴的ですが、本作品では遠近法を強く意識していないようです。
(参考)「白い扉、あるいは開いた扉」(ヴィルヘルム・ハンマースホイ)
(1905年)
また、背景をぼかすことで白黒の画面のなかで、人物が強調される効果を与えています。
人物が画面中心から画面に右にずれて配置されていますが、中心線と対角線上に体が描かれており、鑑賞者にに違和感を与えていません。
デンマークでは、白黒を基調にした作風はあまり評価を得ることが出来ず、キャリア初期は、ハンマースホイは主に外国で評価されたようです。
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