17世紀バッロク全盛期のフランス人画家、二コラ・プッサンの作品「人生の踊り」です。バッロク全盛期の画家ですがプッサンの作品にはあまりバッロク的な明暗対比や劇的な描写は見られません。
プッサンはフランス人画家ですがキャリアの大半をイタリア ローマで活動しローマの支配層の庇護を受けていたようです。
本作品「人生の踊り」は後のローマ教皇クレメンス9世からの注文で制作されました。
「自画像」(二コラ・プッサン)
(1649-1650年)
作品 人生の踊り
作品の中央で4人の男女が踊り、上空にはギリシャ神話の太陽神アポロンが描かれています。
左端ではキューピットがシャボン玉を膨らませ、右端では別のキューピットが砂時計をもっています。
また作品右に琴を弾いている老人は時の神クロノスです。
本作品は時間や人生についての表現がされています。
「人生の踊り」
(1634-1636年)
中央の4人の男女は四季を擬人化したもの、または人生を表現しているものとの解釈がされています。
四季とした場合は、青い服の女性が「春」、白い服の女性が「夏」、オレンジの服の女性が「秋」、土色の男性が「冬」の擬人化です。
人生の表現とした場合、青色の女性は「享楽」や「喜び」を表現しています。
鑑賞者に投げかける視線や頭につけているバラの飾りは女神ヴィーナスを表しています。
白い服の女性は、頭に真珠の飾り物や黄金のサンダルを履いており、すました表情から「富」を表現しています。
「享楽」と「富」を表現する女性だけサンダルを履いています。
オレンジ色の女性は、簡素な布を頭に被っていることから「貧困」を表しています。
女性の表情は苦しそうです。また「富」を表現する女性とは手を繋げていないようです。
反対に「享楽」を表現する女性は「富」を表現する女性の手を固く握っています。
月桂冠を被る土色の男性は「勤勉」を表し、男性の視線は「富」を表す女性に向けられています。
作品の時を表す表現
本作品は中央の4人の男女を時を表す表現で囲んでいます。
左端下のキューピットははかなさを表すシャボン玉を膨らませています。
そのキューピットの後ろには年の始まりの1月の守護神ヤヌスの石柱が描かれ若い顔と年老いた顔が描かれています。
右端下のキューピットは砂時計を持っており、隣は時の神クロノスが4人の男女を見つめています。通常はクロノスが砂時計をもっているようですが、本作品ではキューピットに持たせています。
キューピットとクロノス自身も赤ん坊と老人の対比とされています。
上空にいるのは太陽神アポロンで凱旋車に乗りながら両手を広げています。
アポロンの周りの黄金の輪は永遠を表します。
凱旋車を花を撒きながら先導しているのはアポロンの妹で暁の女神アウローラで凱旋車の後にいる女性たちはアウローラの侍女で時間の精霊ホーラーたちです。
凱旋車の後ろから夜が明けて行っている様子が描かれています。
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