17世紀フランスの画家でバッロク全盛期に古典主義的な画風で活躍した二コラ・プッサンの作品「黄金の子牛の礼拝」です。
本作品は旧約聖書の出エジプト記にあるモーゼが神から十戒が記された石板を授かった後の物語を描いた作品です。
パトロンから依頼を受けて制作された作品で、同じ出エジプト記の物語を描いた「紅海横断」と対作品されています。
作品 黄金の子牛の礼拝
旧約聖書内の出エジプト記の物語で、エジプトからイスラエルの民とともに脱出したモーゼはシナイ山で神から十戒を石板に授かる場面は有名ですが、本作品はその後の場面が描かれています。
「黄金の子牛の礼拝」
(1633‐1634年)
シナイ山へ行ったモーゼの帰りが遅く、不安になったイスラエルの民達はモーゼの兄アロンに信仰のよりどころとなる神像を作ることを求め、アロンは民から金品を集め溶かして、黄金の子牛の像を作り信仰の対象としました。
民は喜び、宴を開き踊りあかしている様子が描かれています。
白いローブをマットているのがモーゼの兄アロンです。白いローブのアロンと白い服の若者で白を作品に中心に配置し周囲に青、赤、オレンジの配色を広げて作品に広がりを与えているようです。
シナイ山から戻ってきたモーゼが民の様子と子牛の神像を見て、怒り石板を叩きつけている様子も描かれています。
プッサンは本作品内で子牛の神像の前で踊る人々を他の作品から流用しています。
「パンの像の前でのバッカス祭」という作品で本作品と同様に神像の前で踊る人々を描いており、その人々を反転させて本作品に流用しています。
「パンの像の前でのバッカス祭」
(1631‐1635年)
本作品は、おなじ出エジプト記の物語でモーゼが民を率いて紅海を渡る場面を描いた「紅海横断」と対作品として制作されています。
「紅海横断」
(1633‐1634年)
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