「聖マタイの召命」など明暗対比で優れた宗教画作品を遺したカラヴァッジョですが、人が人を騙す様子を描いた作品も数点制作しています。
カラヴァッジョに影響をうけた画家ラ・トゥールも明暗対比の宗教画を描くとともに、カラヴァッジョと同様に人が人を騙す様子を描いています。
女占い師 カラヴァッジョ
本作品「女占い師」は、カラヴァッジョが2人以上の人間を描いた最初の作品で、2種類、描かれています。
「女占い師」
(1594年頃)
「女占い師」
(1595年頃)
おしゃれな洋服を着た少年が、ジプシーの少女に手相を見せるように、手を預けています。
少年の目は、少女を見つめ、少女も少年を見つめ返しているように見えます。
しかし、少女の手は、少年の手相を見るのではなく、指輪をこっそり抜き取ろうとしています。
少年はそれに気づいていない様子です。
当時、このような題材を作品にする画家はいませんでしたが、カラヴァッジョの作品により後世、多くに画家に描かれるようになります。
女占い師 ラ・トゥール
カラヴァッジョの影響を大きく受けたと言われれる画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールも「女占い師」という作品を残しています。
「女占い師」
(1630年頃)
男を囲む女性達はグルで、女占い師が男性の気を引いている間、男性が身に着けている貴金属を盗もうとしています。
女占い師の服の柄に鷲がウサギを狩る絵となっており、男性が狙われて、騙されることを表しています。
男性の爪の間に爪垢が描かれています。男性がだらしない性格を表しています。
コメント