17世紀のオランダ黄金期の画家ピーテル・デ・ホーホの作品「金(貨)を量る女」です。
本作品「金(貨)を量る女」は、日本で人気のヨハネス・フェルメールの作品「天秤を持つ女」の基となった作品と推測されています。
デ・ホーホとフェルメールは年齢が3歳違いで同じデルフトで活躍していたことからお互いを知る間柄だったと思われます。
本作品では、赤系色を基調に遠近法を強調した画法で、当時の女性の美徳とされた金貨を量る様子を描いています。
作品 「金(貨)を量る女」
オランダ黄金期の画家たちは、それまで盛んに描かれていた宗教画や神話画から人々の様子を描いた風俗画や集団肖像画を描くようになります。
本作品ではデ・ホーホは、女性が金貨を量る様子を描いています。
「金(貨)を量る女」
(1664年)
当時は、金貨の品質は統一されたものではなく、金の含有量が低い金貨を見つけ、家計を守るという仕事が女性の大事に仕事とされ、美徳とされていました。
デ・ホーホは、美徳とされている金貨を量る行為を画面中心に据えて描いています。
画面は、赤系色にまとめて、女性の頭巾の白と上着の青色が補色関係となりアクセントとなっています。
女性の背後には、隣の部屋が描かれていますが、簡易的に描かれており、鑑賞者の視線の邪魔をしないようにしているようです。
遠近法を強く意識した画面ですが、窓や机などの直線的な遠近法よりも金貨を量る行為を中心にした画面構成である印象を受けます。
本作品は、フェルメールの代表作ともいえる「天秤を持つ女」の基となったと考えれています。
「天秤を持つ女」(ヨハネス・フェルメール)
(1662‐1663年)
デ・ホーホとフェルメールの彩色が全く逆となっているところは、興味深いです。
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