フィンセント・ファン・ゴッホは、レンブラントやドラクロワ、ミレーなどの画家の作品の模写を複数していますが、風刺画家のオノレ・ドーミエの作品「飲んだくれ」も模写しています。
ゴッホはオノレ・ドーミエを高く評価していたようです。
ゴッホの模写は、オリジナル作品の白黒の写真をみて模写しており、配色はゴッホ自身のものです。
また、ドーミエの「飲んだくれ」は風刺画でもあり配色自体が無いものをゴッホが配色して模写したものとなります。
作品 飲んだくれ(オノレ・ドーミエを模して)
ゴッホ自身が高く評価していたオノレ・ドーミエの風刺画「飲んだくれ」を模写した作品です。
模写の多くは精神を病んだとして、療養所から外出が制限されたサン=レミ滞在時に制作されたものが多いですが、本作品も同様にサン=レミ滞在時に制作されています。
「飲んだくれ(オノレ・ドーミエを模して)」
(1890年)
オリジナルと比較すると、オリジナルには無い工場と煙突、家などの背景が加えられています。
「飲んだくれ」(オノエ・ドーミエ)
(1862年)
模写の配色はゴッホ自身によるものですが、ゴッホの特徴ともいえる黄色と青色の補色関係を中心にして配色しています。
また、服の皺やテーブルの上のお酒が入った容器など、より曲線を強調した太い線で描いており、ゴッホの特徴を反映された模写となっています。
ゴッホは背景に工場と煙を吐く煙突を書き加えており、オリジナルに比べても人物たちの表情を暗く、無表情が分かるように描いており、療養中の自身の気持ちを反映させているのかもしれません。
空にはカラスが描かれており、こちらもオリジナルには無いものです。
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