ティントレットは、16世紀ルネサンス期のイタリア ヴェネチアの画家で、ヴェネチア派の代表的な画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオに師事しつつも、バロックの明暗対比やマニエリスムの人物表現など独自の作風を確立させます。
本作品「カナの婚礼」でもバロックのような明暗対比やマニエリスムの様な上下に伸びた人体の表現などが見られます。
カナとは、場所のことで、イエス・キリストが水をぶどう酒に一瞬にして変えてしまったという奇跡を起こした場所で、現在のところ実際の場所が何処かは分かっておりません。
作品 カナの婚礼
ヴェネチア派の色彩とバロックの明暗対比、マニエリスムが融合したような作品です、ティントレットの他の作品「最後の晩餐」のような長机に人々が席についている様子が描かれています。
「カナの婚礼」
(1561年)
(参考)「最後の晩餐」(ティントレット)
(1592-1594年)
カナの婚礼とは、イエス・キリストと聖母マリアが婚礼に招かれた際、婚礼中にぶどう酒が尽きてしまい、マリアがイエス・キリストに助けるように話しかけた後、イエス・キリストがかめの水をぶどう酒に変えてしまう話です。
本作品中では、イエス・キリストと聖母マリアが描かれているのが、鑑賞者にすぐ分かるように二人は光をまとったように描かれています。
まだ、ぶどう酒が注がれる前のようです。
また、画面左下でカメからぶどう酒を受け取ろうとしているオレンジ色の服の男性はティントレット自身とされています。
さらに、席についている女性達の真ん中で花を持っている女性はティントレットの娘マリエッタと言われています。
画面の対角線上に陽の光が部屋に入り込み、イエス・キリストよりも自身の娘に一番光があたるように描いているようです。
遠近法と明暗対比の印象が強く、また多くの登場人物を描いている本作品ですが、部屋の外の青空と雲を描くことで、画面全体にまとまりを持たせています。
「最後の晩餐」で描いている、天井のランプの光と同じ効果を与えていると思われます。
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