印象派を代表するピエール=オーギュスト・ルノワールの作品「セーヌ川の舟遊び」です。
「アニエールのセーヌ川(舟遊び)」とも呼ばれている作品です。
パリ北西のセーヌ川沿に位置するアニエールは、印象派が活躍する19世紀後半は新興工業地区であると同時に公園などがあり、パリ市民の余暇の場所として人気を得ていました。
多くの画家達もアニエールを訪れ作品にしているとともに、船遊びも当時の人々の間で流行しており、多くの画家が船遊びを題材に作品を制作しています。
ルノワールの作品には珍しく、筆触分割による水面の描写を印象付ける作品となっています。
作品 セーヌ川の舟遊び(アニエールのセーヌ川(舟遊び)」
同時代に活躍、ルノワールとの親交も深いクロード・モネの印象が強い、筆触分割による光を反射する水面の描写をルノワールが行っている作品です。
「セーヌ川の舟遊び(アニエールのセーヌ川(舟遊び)」
(1879年頃)
(参考)「舟遊び」(クロード・モネ)
(1887年)
きらきらと陽の光を反射する水面の描写を鑑賞者に印象付ける構成となっています。
画面の中心にボートを漕ぐ女性を配置することで、画面に安定感を持たせており、鑑賞者の視線が最初に水面の描写にいくよう誘導しているようです。
また、ボートと河岸の水平線により画面は3分割にされ、筆跡の違いによる描写方法の変化が分かります。
画面奥に行くほど、柔らかいタッチになっていおり、画面の中に強く遠近の効果を与えています。
画面奥には、白い煙を吐きながら走る機関車が描かれています。
当時、科学技術の最先端、産業革命の象徴的存在として、多くの画家が自然を描いた風景のなかに描いています。
(参考)「郊外の列車」(クロード・モネ)
(1870年)
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