エドゥアール・マネに師事し、マネの作品のモデルも務めたベルト・モリゾの作品「裁縫の勉強(裁縫の稽古)」です。
当時は、女性が画家として活躍するのは難しかったのですが、モリゾの作品制作に理解がありサポートを惜しまなかった師匠のマネの弟と結婚したこともあり、多くの作品を制作、活躍しました。
また、両家とも上流階級で経済的に豊かであったことも活躍できた背景となっています。
本作品は、自宅で一人娘ジュリーに使用人兼子守役のパジーが裁縫を教えている場面を描いた作品で、幸せな家族の一場面を描いています。
ベルト・モリゾは当時としては珍しい女性画家として、女性の視点から子供や家族の様子を描いており、結婚後は自身の夫や娘をモデルに多くの作品を制作しています。
作品 裁縫の勉強(裁縫の稽古)
モリゾの特徴でもある粗い筆跡で自身の自宅で娘に裁縫を教える使用人を描いています。
「裁縫の勉強(裁縫の稽古)」
(1884年)
一人娘のジュリーと使用人のパジーの二人は画面左右に描かれており、三角形を構成して安定感を与えており、鑑賞者にも安心を与え、幸せな様子を印象づけています。
また、二人の視線が画面の縦中央線上にあり、ジュリーの目の位置も画面の横中央線上に配置しており、画面にさらに安定感をあたえています。
裁縫している布や背景の様子は粗く描いており、鑑賞者が二人の人物に向ける視線の邪魔にならないようにしているようです。
ベルト・モリゾは結婚や出産後、自身の家族の様子を描いた作品を多く制作しており、全ての作品から画家としての活躍をサポートする家族への愛情を感じることができる作品となっています。
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