江戸時代、庶民の娯楽と情報源となっていた浮世絵。
その浮世絵を企画、宣伝、販売といいたプロデュースを行っていたのが版元です。
浮世絵の販売が版元の経営に直結していたことから、版元はいろいろな工夫やアイディアで浮世絵の販売を図りました。
その販売戦略の一つが「揃い物」です。
いわゆるシリーズもので、もともとは一枚売りだった浮世絵をシリーズ化しました。
一枚買うと次も気になり、また次も気になる。
江戸の人々のコレクター心をくすぐって販売につなげました。
葛飾北斎「富嶽三十六景」
世界で一番有名な日本画ともいえる「神奈川沖浪裏」を含む、揃い物です。
「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
当初は36点のシリーズものとしてスタートしましたが、売れ行き好調のため46点となりました。
「富嶽三十六景 凱風快晴」(かいふうかいせい)
「富嶽三十六景 尾州不二見原」
歌川広重「東海道五十三次」
東海道にあった53の宿場町と出発点の日本橋、終点の京都を加えた全55枚のシリーズものです。
1833年からはじまり、歌川広重の出世作となりました。
「東海道五十三次 日本橋」
「東海道五十三次 庄野」
「東海道五十三次 草津」
歌川広重「江戸名所百景」
歌川広重、最晩年の作品で死の直前まで制作が続けられた代表作です。
119点からなるシリーズもので、1856年からスタートし5年10ヵ月かけて制作されました。
「ジャポニズム」の代表的作品として西洋画家に大きな影響を与えた作品群です。
「大はしあたけの夕立ち」
ゴッホの模写も有名
「水道橋駿河台」
「小梅堤」
「江戸名所百景」は斬新な構図が多く、風景浮世絵としての完成度は随一といわれ、人気を得ました。
1854年 江戸は安政の大地震で大きな被害を受けており、「江戸名所百景」は、復興を祈念した意図もある作品ではないかとも言われています。
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