19世紀初頭、相反する画風が対立する状況が30年ほど続きました。
デッサンを重視しルネッサンス期を規範とし、写実性を特徴とした新古典主義と感性的、情熱的な画家自身の感覚を重視し、実際の事件も描くロマン主義が対立していました。
新古典主義
フランス革命そしてナポレオンの登場は絵画の世界にも影響を及ぼしました。
革命以前の貴族の優雅で自由な生活を描いたロココ美術から写実性や形式、ギリシア・ローマの古典様式を重視する新古典主義が主流となっていきます。
当時、イタリアのポンペイ遺跡の発掘により人々の関心が古代へ向けられており、古典志向が高まっていました。
また、古典の英雄主義的な画風は、ナポレオンに好まれ、政治利用の意味でナポレオンの庇護を受けます。
ロココ美術の代表作
「ぶらんこ」
(1768年頃)
新古典主義の代表的画家のダヴィッドの作品
「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」
(1801年)
「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」
ダヴィッドの弟子で新古典主義の第一任者となるドミンク・アングルの作品
「玉座のナポレオン」
ロマン主義
形式美、写実性、古典志向といった新古典主義への反動として、個人の感受性や内面世界を重視するロマン主義が現れます。
ロマン主義の代表的画家ドラクロワ作
「キオス島の虐殺」
(1823-1824年)
上の作品は、トルコ軍によって、ギリシャ・キオス島のキリスト教徒が大量虐殺された事件を描いた作品です。
ロマン主義の特徴として、同時代の社会的事件を題材とし、生々しい描写で画面に迫力と緊張感を作品に与えます。
フランス7月革命を描いた
「民衆を導く自由の女神」
(1830年)
ナポレオンの失脚もありますが、最終的に、同時代の事件を描き、個人の感受性や内面を自由に描いたロマン主義が好まれるようになっていきます。
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