基本的に絵の具は、色の素なる物質と、接着剤の役割を果たす「媒材(メディウム)」を混ぜたものです。
その為、色の素となる物質が高価なものとなると、絵の具も高価となるため、自由に色を使うことが出来ない時代が続きました。
特に青色は19世紀に化学の発展による合成、製造方法が確立するまで高価な色でなかなか使えない色でした。
青い色は高価
青色の素となる素材は、僅かで、中でもラスピラズリという半貴石を原料とする「ウルトラマリンブルー」は貴重で、金と同等の価値がありました。
ルスピラズリの原石
画家が自由に使える色ではなく、聖母マリアやイエス・キリストの衣服に使われることが多く、「マドンナ・ブルー」とも呼ばれるようになります。
フェルメール・ブルー
そんな高価なウルトラマリンブルーを多用した画家として有名なのがヨハネス・フェルメールです。
「音楽の稽古」
(1662-1665年頃)
「音楽の稽古」では、ふんだんにウルトラマリンブルーが使用されています。
青色の椅子はもちろん、左の壁や床の青みがかった黒石部分に使用されているほか、天井の茶色にも少し使用し青みをかけています。
他の作品でもフェルメールはウルトラマリンブルーを多用しており、フェルメール・ブルーと呼ばれ、彼の作品の特徴とされます。
フェルメールの義母が裕福だった事、醸造業者で投資家のパトロンがいた事が、彼が惜しみなくウルトラマリンブルーを使用できた理由と言われています。
高貴を感じさせる色合わせ
ウルトラマリンブルーは、金と同等に高級とされており、この二つを使用した絵は最高級となります。
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」はウルトラマリンブルーと金のように輝く黄色を使用し高貴さの演出がされています。
「真珠の耳飾りの少女」
(1665年)
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