ヨハネス・フェルメールと同時代、フェルメール同様にオランダのデルフトを拠点に活躍した風景画家ピーテル・デ・ホーホです。
フェルメールとも面識があったとされ、フェルメールに影響を与えたと言われています。
実際、両者の作品には多くの似た作品があります。
フェルメールへの影響
デ・ホーホの初期の作品は、人物の表情に重点を置きながら背景をぼやかすような画風でしたが、1656年から1657年頃から急激な変化をしています。
遠近法を用いた室内空間に人物を配置する、今では、ヨハネス・フェルメールの作品をイメージする構図を用いるようになります。
「カード遊びをする2人の兵士とパイプを詰める女」と「兵士と笑う女」
次の作品は、デ・ホーホとフェルメールの同時期の作品ですが、デ・ホーホの方が作品中に多くの情報を描いており、それぞれの登場人物が何をしているかわかります。
「カード遊びをする2人の兵士とパイプを詰める女」 (ピーテル・デ・ホーホ)
(1658年頃)
一方、フェルメールの「兵士と笑う女」は机の上などに物を描かず、二人の関係性は鑑賞者の想像に委ねられています。
「兵士と笑う女」(フェルメール)
(1657-1659年頃)
「男二人、給仕の女と杯を交わす女」と「紳士とワインを飲む女」
上記の2作同様に次の作品でもピーテル・デ・ホーホの方は、登場人物が多く、作品中の情報も多くなっています。遠近法によるワインを飲む女性と給仕の女性の大きさの違いでも室内の広さを表現しているようです。
「男二人、給仕の女と杯を交わす女」(ピーテル・デ・ホーホ)
(1658年頃)
フェルメールの「紳士とワインを飲む女」はデ・ホーホの作品のワインを女性に進める男性の部分を切り取ったようなイメージとなっています。
「紳士とワインを飲む女」(フェルメール)
(1658-1660年)
「金貨を量る女」と「天秤を持つ女」
次の作品も同じ時期の作品です。デ・ホーホの方は赤色を基調にしており光の表現はあまり重要視していないように思えます。
「金貨を量る女」(ピーテル・デ・ホーホ)
(1664年頃)
フェルメールの「天秤を持つ女」は光が女性を照らすような表現をしており、より光と影が強調されているようです。
「天秤を持つ女」(フェルメール)
(1662-1665年)
窓から差し込む光と遠近法を使った表現は、デ・ホーホがフェルメールより先に習得していたと思われています。
フェルメールは、デ・ホーホの作品を見ていたと思われ、大きく影響されたとされています。
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