ルネサンス盛期の巨匠ラファエロ・サンティが最後に描いた聖母マリア像です。
ラファエロが一人で最後まで描き上げた最後の作品と言われています。
ラファエロは多くの聖母像を描いており「聖母の画家」とも呼ばれています。
調和された構図
ラファエロの作品の構図は調和がとれていることが多く、鑑賞者に安心感をあたえる作品と言われています。
作品の登場人物が綺麗に三角形に配置されており、さらに、聖母マリアと赤ん坊のイエス・キリストは絵画の中心点の上部の菱形に収められています。
人物を三角形に配置する技法は、レオナルド・ダ・ビンチがはじめたものです。
ラファエロは、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロの画法を貪欲に学び、自身の作品に取り入れています。
また、この作品は、登場人物の頭を繋ぐと十字架にもなっています。
有名な二人の天使
作品の下部の二人の天使は、いろいろな商品のデザインに利用され、作品よりも有名になっています。
この二人の天使は、「ラファエロがこの作品を描く際、モデルとした女性の子供達が見学に来た際に、子供達の見学する様子をラファエロが描いた」「ラファエロが街で見かけた、物欲しげにパン屋の窓を覗き込む子供たちの姿を描いた」などの説が言われています。
歴史
本作品「システィーナの聖母」は、ラファエロがイタリアの修道院からの依頼により祭壇画の一翼として制作されました。
その後、ドイツのドレスデンに移り、現在、ドイツ ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館に所属されていますが、第二次世界大戦時にソ連に持ち去られ、モスクワのプーシキン美術館に所蔵、展示されていました。
「システィーナの聖母」
(1513-1514年)
第二次世界大戦の際、空爆から作品を守るため、他の絵画とともに坑道に避難、保管されていました。しかし、ソ連軍が発見し押収、モスクワへ持ち去ってしまいました。
1946年からプーシキン美術館で展示されましたが、1955年にソ連は、当時の東ドイツに作品を返還しますが、持ち去った際になにかしら作品を損傷させたのではとの議論がおこりました。
ドイツ返還後、修復され、アルテ・マイスター絵画館に展示されますが、絵画館でもっとも貴重な作品とされています。
アルテ・マイスター絵画館は、他にジョルジョーネ「眠れるヴィーナス」やフェルメール「窓辺で手紙を読む女」を所蔵しています。
ルイ13世の誓願 アングル
新古典主義を代表するドミニク・アングルはラファエロから多大な影響をうけており、「システィーナの聖母」から着想を得て、「ルイ13世の誓願」を描いています。
「ルイ13世の誓願」
(1854年)
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