バロックの巨匠カラヴァッジョが描いた作品で、この作品によってカラヴァッジョの名声が確立しました。
この作品により、のちに重要な後援者となるフランチェスコ・デル・モンテ枢機卿に注目されました。
また、「トランプ詐欺師」はフランチェスコ・デル・モンテ枢機卿が購入しています。
画家として独立
カラヴァッジョは、1594年頃に本作品を制作、ちょうどそれまで勤めていた工房を離れ画家として独立を模索している時期に制作されました。
カラヴァッジョは、この作品の前に似たような題材である「女占い師」を制作、注目されます。
「女占い師」
(1594年頃)
「女占い師」で注目されたカラヴァッジョは、さらに「トランプ詐欺師」を制作、画家として独立するのに必要な後援者を得ようと試みます。
「トランプ詐欺師」
(1594年頃)
当時のカトリック教会のフランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿が「トランプ詐欺師」を購入し、カラヴァッジョは、強力な後援者を得ることになりました。
フランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿
その後、カラヴァッジョは、フランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿のもと多くの作品を制作しています。
作品:トランプ詐欺師
本作品でカラヴァッジョは、日常のリアルなシーンを細部まで描いています。
騙そうとしている少年のカードを覗き見る男の顔や合図を送る手の手袋の指先の裂け目が細かく描かれています。
詐欺師の少年はとても若く、心配そうに奥の男性を見る表情で描かれています。
騙される側の少年と同じモデルではないかとの説もあるようです。
騙される側の少年は無垢な表情で描かれています。詐欺師の少年と同年代の少年が描かれ、対比されています。
本作品は、高い評価を受け、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールなど他の画家が同様な題材にて作品を制作しています。
「ダイヤのエースを持ついかさま師」
(1620-1640年頃)
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