ルネサス盛期の巨匠の一人ラファエロ・サンティの最後の作品とされる「キリストの変容」です。
ラファエロ・サンティの集大成的な作品と言われています。
ラファエロは亡くなるまで本作品の制作に取り組んでいましたが完成前に亡くなってしまい、最後は彼の弟子たちによって完成します。
作品には上部と下部で二つの物語が描かれています。
作品 キリストの変容
本作品は、「主イエスの変容」という福音書に描かれている話を上部に描き、下部に悪魔に憑依された少年を使徒たちが救おうとしている様子が描かれいます。
「キリストの変容」
(1516-1520年)
本作品は20世紀初頭まで世界で一番有名な油彩画と言われ、ルネッサンス後の西洋絵画に大きな影響を与えました。
作品は、上部と下部ともきれいに三角形に人物を配置する構図でまとまりがあります。
作品上部
イエス・キリストが弟子たちと高い山(ダボール山)に上った際に、自身を神の姿として旧約聖書の預言者であるモーゼとエリアを伴い中に浮いて光を放った場面です。
弟子たちは、光かがやくイエス・キリストにひれ伏しています。
イエス・キリストから発せられる光により色彩を和らげ、人々の動作も控えめにえがかれており作品下部と対照的な表現がされています。
作品下部
作品上部とは対照的に左からさす光が人々を照らし、色彩は鮮やかで人々の動作も大きく描かれています。
作品下部では、悪魔に憑依された少年を使徒たちが助ける様子が描かれていますが、最終的にはイエス・キリストが来るのを待つことになります。
少年の体がねじれた表現は後のマニエリスムへ影響したと考えられています。
また、明暗対比はバロック絵画へ影響したとされています。
人々が手を挙げている先はイエス・キリストに向いています。
作品下部はラファエロの死後に弟子たちによって制作されたと考えられていましたが、修復の過程でほぼラファエロ自身により制作されたことが判明しています。
コメント